
米上院がGENIUSステーブルコイン法案を強力な68対30の票差で可決
上院はGENIUS法案を賛成68票、反対30票で可決し、次の段階として下院に送ることになりました。この法案はステーブルコインに関する明確なルールを定めることを目的としており、米国における暗号資産規制の全国的な基準策定に向けた一歩となります。
GENIUS法案がステーブルコインに意味すること
GENIUS法案(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoinsの略)は、ステーブルコイン発行者に対する初の詳細な連邦規制を提示します。すべてのステーブルコインは、米ドルまたは短期米国債で完全に裏付けられている必要があり、これにより流動性問題を防ぎ、利用者の信頼を維持する狙いがあります。
時価総額が500億ドルを超えるステーブルコイン発行者は、毎月の準備金報告と年次監査の実施が法律で義務付けられます。また、消費者の混乱を防ぐために、ステーブルコインをFDIC(連邦預金保険公社)保証や政府支援付きとして宣伝することも禁止されます。
これらの措置は透明性と安全性を高め、ステーブルコインへの信頼獲得を助けます。明確なルールができることで、企業と利用者双方の規制に対する不確実性が減り、普及促進の道が開かれます。
投票に至る政治的背景
上院では最終的に超党派の支持が得られましたが、当初は苦戦しました。5月の投票では、トランプ一家が独自のステーブルコインを開発する企業と関連していることが主な理由で否決されていました。
票を確保するために、議員たちは数週間かけてGENIUS法案を修正し、より厳しい倫理規定、国家安全保障の強化、マネーロンダリング防止のチェックなどを追加。これらの譲歩が民主党の賛同を得る鍵となりました。
注目すべきは、共和党からはランド・ポール上院議員とジョシュ・ホーリー上院議員の二人だけが反対し、政治的な対立の中で珍しい一致が見られたことです。しかし、法案が下院を通過するかどうかはまだ不透明で、追加の修正や暗号資産市場への影響に関する議論が続いています。
米国の金融イノベーションへの広範な影響
GENIUS法案の成立は、米国がデジタル資産規制のリーダー的存在になる可能性を示唆しています。専門家は、ステーブルコインに関する連邦の明確なルールが整うことで、AppleやGoogle、Metaといった大手企業が一貫した基準のもとでトークン発行に乗り出すことを後押しすると考えています。
財務長官のスコット・ベッセント氏によると、ステーブルコイン市場は2030年までに3.7兆ドル規模に急拡大する可能性があり、利用者保護と進展の両立を図るルール作りが立法者の重点課題となっています。
しかし、このバランスをとることは簡単ではありません。規制当局は詐欺やマネーロンダリングを防止しつつ、金融セクターの成長を促さなければならず、監査や準備金に関する規定はその助けとなるものの、政府と業界の継続的な協議が必要です。
金融イノベーションの未来をどう形作るか
上院がGENIUS法案を支持したことで、ステーブルコインやデジタル決済手段に関する明確な規制枠組みの構築への道が開かれました。提案されたルールは消費者の安全性を高め、成長する暗号資産市場においてドルの地位を守ることが期待されています。
今後、法案が下院を通過するかが焦点となりますが、GENIUS法案は新技術と適切な規制管理を両立させ、米国の金融の未来を形作る大きな一歩となるでしょう。
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