Glassnodeレポート：イーサリアムの売り圧力は2,800ドル付近で強まる見込み

イーサリアムはここ数週間で顕著な回復を見せており、過去1ヶ月で40%以上の上昇を記録しています。約1,800ドルまで下落した後、再び2,500ドルを超え、市場参加者の間に楽観ムードが戻りつつあります。

しかし、この上昇は転換点に差し掛かっている可能性があります。2,800ドル付近は重要なレジスタンスゾーンとなっており、オンチェーンの指標はイーサリアムがこの価格帯を試す中で売り圧力が強まることを示唆しています。

2,800ドル付近で強まる売り圧力

Glassnodeのレポート（5月24日付）によると、多くのイーサリアム投資家は2,800ドル付近の価格帯にポジションを集中させているという重要な洞察が得られます。つまり、この価格帯で購入した多くのホルダーは数ヶ月間含み損を抱えていました。イーサリアムがこの損益分岐点に近づくことで、損失を出さずに売却できる好機と考える投資家が増える可能性があります。

これにより、イーサリアムがこのレジスタンスに近づくにつれて売り注文が増加する可能性があります。損益分岐点付近の投資家が投資を確定させたり、リスクを抑えようとする典型的な動きです。その結果、売り圧力が強まり、直近の価格上昇が鈍化したり反転したりするかもしれません。

この慎重な見方は先物市場のデータにも裏付けられています。5月25日、Santimentの寄稿者ShayanMarketsは指摘したように、イーサリアムのTaker Buy-Sell Ratio（先物市場の積極的なトレーダーが買いか売りかを示す指標）の14日移動平均が低下しており、売り勢力が優勢になっていることを示しています。この傾向が続けば、より大きな調整が起きる可能性があります。

テクニカル指標からの混合シグナル

イーサリアムにとって良い兆候は、50日および100日の移動平均線をまだ維持していることです。これは長期的には強気のサインであり、価格が下落した際にはこれらの線がしっかりとしたサポートとして機能し、反発を助ける傾向があります。

一方で、上昇の勢いが鈍化しつつある兆候も見えます。ボリンジャーバンドは価格変動の幅を示す指標ですが、今月初めに拡大した後、狭まり始めています。この収縮は価格変動が落ち着きつつあることを示し、市場に不確実性が増している可能性を示唆します。現在、イーサリアムはボリンジャーバンドの中央値付近にあり、買い手と売り手の均衡を反映しています。

RSIは約63.9で、過熱感のない堅調な買いの勢いを示しています。対照的にMACDは平坦化し、最近は弱気のクロスを見せており、勢いが弱まる初期の警告サインですが、現時点では確定的な売りシグナルではありません。

イーサリアムの今後のシナリオ

今後を見据えると、主に二つのシナリオが考えられます。一つはイーサリアムが2,800ドルのレジスタンスを明確に突破するケースです。特にSECのイーサリアムステーキングETFに関する判断が6月1日に予定されており、これが承認されれば機関投資家からの需要が急増し、ETHは3,000ドル超えも視野に入るでしょう。利回り型ETFは慎重な機関投資家の資金流入を加速させる強力な要因となる可能性があります。

もう一方では、2,800ドル付近での売り圧力が強まり、先物トレーダーのポジション解消や損益分岐点付近の売りが重なることで健全な調整が起きる可能性があります。この場合、2,200ドルのサポートラインまでの押し目ができ、新たな上昇の前の呼吸を整える場となるでしょう。これは市場が弱いポジションを一旦整理してから再び上昇するという典型的な動きです。

したがって、全体のトレンドは依然としてポジティブですが、短期的には不透明感が強い状況です。投資家は価格の動きだけでなく、デリバティブ市場やオンチェーンのデータにも注目し、買い手と売り手の実力を見極めることが重要です。

今後のイーサリアムに期待できること

イーサリアムの価格は現在、2,800ドルの重要なレジスタンス付近にあります。オンチェーンデータ、先物市場のセンチメント、テクニカル指標はいずれも売り圧力の増加を示唆していますが、SECの決定に関連した機関投資家の需要が強気のブレイクアウトを後押しする可能性もあります。

イーサリアムを注視する人は、この価格帯の突破か反発かが今後数ヶ月のモメンタムを左右するため、常に警戒し柔軟に対応できる準備が必要です。